生前整理とは、遺族の負担を軽減するために、生きているうちに身の回りの整理など死後の手続きをすることです。
土地や預貯金などの物理的な財産だけでなく、スマートフォンのデータのようなデジタル遺品も含みます。
一度整理を始めると改めて所有物の多さに戸惑い、大変な作業であることに気づくでしょう。
年を取ると重い荷物の移動が困難になったり、手続きをしようにも外出がしにくいということもあるため、早めに始めておくことが望ましいでしょう。
生前整理の進め方
1財産目録の作成
財産状況を明確に書き記しておけば必要な書類などを処分してしまう危険を避けられ、遺族が財産を調査する手間を省くことができます。
目録に決まった形式はありませんが、ネットで検索すると多くのテンプレートがあるので、効率的に整理を進めましょう。
プラスの財産だけでなく、負債についてもすべてを記入するようにしましょう。
財産目録に書き記す内容
- 土地や建物、宝石や骨董品などの資産価値があるもの
- 預貯金、現金
- 自動車
- 年金手帳や健康保険証
- 保険証書
- 有価証券・負債(ローン、借金など)
2不要品の処分
生前整理は一般的な片付けとは異なり遺産相続に関わる重要な作業であり、相続人のことを考えて行う必要があります。
取捨選択の基準を定めることが重要で、必要かどうか迷う場合は思い切って処分して、どんどん物を減らしていきましょう。
思い出深い写真など処分しにくい物は一旦後回しにし、まずは買い直しができる食器や衣類から始めるのがお勧め。
日記など見られて恥ずかしい物は、処分しておくべきです。
3「電子データ」の整理
遺族の悩みで最も多いのが、銀行の口座情報や銀行印の保管場所、そしてインターネットで利用しているサイトのIDやパスワードがわからないことです。
最近は高齢者でもスマートフォンやパソコンを使用しており、写真やメール、電子マネーといったデジタル遺品の整理も必要不可欠となりました。
家族に見られたくないデータは消去し、残しておきたいものはバックアップを取っておきましょう。
有料サイトはIDやパスワードがなければ解約できないこともあるため、それらの個人情報も整理し、遺すようにしましょう。
あまり利用しなくなっているサービスは、いっそのこと解約してしまうのもいいでしょう。
4遺言書、エンディングノートの作成
家族間で相続トラブルが起きないためにも、必ず遺言書やエンディングノートを作成して、自身の想いを書面に残しておきましょう。
エンディングノートに決まった記入形式はなく、葬儀や遺品の取り扱いに関する希望、訃報の連絡先などを自由に家族に書き残します。
ただし、遺言書のような法的効力はありません。
このような書面は見つけてもらえなければ意味がないので、遺族が探してくれそうな場所に保管しておきましょう。